シャツを買いにいきました。
いつも買っている、デパートのテナントのお店です。
もう十数年、このお店のシャツを買っています。仕事で着てるシャツは、ほぼ100%、このブランドの同じ生地のシャツです。
もちろんノーアイロンで化学繊維が混ざっていたりする、人生にくたびれてしまっても、シャツが誤魔化してくれるようなものなんかではありません。
毎日洗って、ちゃんとアイロンをかけなければいけないシャツです。時間がなかったり、おねえさんと会う予定があったりすると、クリーニング屋さんに持っていきます。
あたりまえですがシャツをクリーニング屋さんに持っていったくらいでは、お姉さんと仲良くはできません。
かわいいマスコットを見かけたら、買っていって、おしゃべりのきっかけを作ります。でもなかなかアドレスを聞き出せません。
…って、そういう話しではないのです。
お店の棚でシャツを選んでいたら、どれもノーアイロンのシャツばかりになってます。しかも、ほこらしげに “non-iron” なんて書いた帯までついています。
これはどうしたことなんでしょう。高級ブランドではないにしても、それなりに名の通ったブランドです。それを着ようとするひとが、クリーニングの手間を惜しむのでしょうか。
そういえばスチームアイロンを乾かすときのスイッチってスチームの位置なのでしょうか。それともドライの位置なのでしょうか。
…まあ、それはそれとして、そういうマーケットリサーチの結果なのでしょう。きっと、シャツを着るお父さんではなくて、洗濯をするお母さんのほうにリサーチしちゃったんですね。
それにしても、いつも買ってるシャツとは肌触りがぜんぜん違います。タグについている生産国まで違います。
たぶん、いままで着てきた服のなかでいちばん長く身に着けている生地です。ノーアイロンのシャツの肌触りには、簡単には馴染めそうにありません。
お店の隅に、いつも買っているシャツを置いてある棚を見つけます。でも、品数が少なくて色が選べません。
秋色のシャツがほしかったので、生地の見本を出してもらいますが、やはりビジネススーツに合わせるような色柄だけしか選べません。
色物、柄物は新しいノーアイロンのシャツから選んでほしいということのようです。
結局、ノーアイロンじゃないシャツを色違いで２枚買って、お店になかった色の１枚は取り寄せてもらうことにしました。
…シャツの取り寄せ…なんかプチブルジョアな気分です。
でも、ほんもののブルジョアさんは、シャツもオーダーなんですよね。
