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2005/9/1 木曜日

粋(いき)

Filed under: 日記 — murata @ 23:29:23

お昼に入ったトンカツ屋さんで、粋なおじいさんと相席しました。

麻のスーツに、ネクタイを結んで、夏の中折れ帽。「こざっぱり」という表現がいちばんしっくりくる服を残暑にも着崩すことなく、向かいの席で丼物を食べていたおじいさん。
ごはんをかき込み、陶器のジョッキでビールを飲み、じじみのおみおつけをすすり…という順番の動作が、ゆっくりではあるけれども、動作が大きくて、それがほんとうに美味そうなんです。

こんなにおいしそうに食事をしているかたの前では、携帯電話を開くことも失礼に思えてしまい、持ってきた文庫本に目を落とします。

おみおつけを飲み終えて「ああ、うまかった」と一人ごちて、お茶をすすってゲップをして…普段だったら耳障りな音も、このおじいさんだと、聞いているだけでなんとなく幸せな気分になってしまいます。

頼んだ食事に箸をつける頃、おじいさんは食事を終えて、店員さんに持ち帰りの食事を注文しています。
しばらくして、席を待っているお客さんが増えてくると、おじいさんは、持ち帰りの食事を待たずに席を立ちます。気になって見ていると、勘定を済ませたおじいさんは、レジ脇の椅子に腰掛けて扇子を使っています。

おじいさん、待っているお客さんのために、席を空けてくれたのだそうです。

江戸気質(かたぎ)の粋です。

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