ミルクのねこ

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コーヒーのうえにたっぷりとそそがれたフォームドミルクに、まるで手品みたいに瞬きするほどの間におねえさんが描いてくれたねこ。
この春に美大を卒業したおねえさんは来月から海外に留学なんだって。

お店のメッセージボードのイラストや、お店のTシャツのデザインで楽しませてくれたおねえさん。
お店のイベントで使いたいから。と言われて写真をお貸ししたら、とても可愛くレイアウトしてくれたこともありました。

いつかきっと、おねえさんの作品にまた会える日を楽しみしていよう。

伊勢佐木モールのスターバックス

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スターバックスに通いだしたのは、このお店の店員さんが覚えてくれたのがきっかけでした。

毎朝あったかいコーヒーといっしょに笑顔をくれて、
店員さんたちが忙しく働いてて、
入ったばかりの店員さんが、コーヒーのことを説明してくれて、
覚えてくれた店員さんが、おかえりなさい。って言ってくれて、
留学生のリョウちゃんもがんばってて、

その昔、日本屈指の繁華街だった名残りがそこここに残ってる街で、
テーブルでは中国語や韓国語やポルトガル語やロシア語が飛び交ってて、
夜を徹して騒いでいたおねえさんやおにいさんが酔いを覚ましてて、
おじさんが夜の仕事のおねえさんに声をかけてて、
理不尽ないいがかりを外国人のビジネスマンがスマートにいなしてて、
男のコと女のコがテーブルの下でずっと手をつないでて、
たまに別れ話もあって。

そこに居るだけで楽しかったお店が閉店しました。
PTRさんも、楽しい時間をすごさせてくれたお客さんも、みんなありがとう。

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観覧車

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遊園地にいこう。と言い出したのは 父さんだった。

シゲルくんに野球を教えてもらう約束をしていた僕は、父さんの提案を断るつもりだったんだけど、いつになくご機嫌な笑顔を向けてくる父さんを見てると、断ってしまって父さんを悲しませるのは悪い気がして、言い出せなかったんだ。

父さんがタンスから引っぱりだしてきた、白いタイツに紺色の半ズボンの上下を着せられて、たぶんその頃のうちでいちばん上等の格好をさせられた僕は、父さんの運転するライトバンの助手席で、あしたシゲルくんに会ったらなんて言おうかって考えていたはずなんだ。

遊園地では、父さんに、回転ブランコだとか、コーヒーカップだとかに乗せられていた。
そして、クラスの女子がどんなにバカか。とか、シゲルくんがどんなに足が速くて、ドッチボールが上手くて、そのシゲルくんのいちばんの友達が僕なんだってことをたぶん話していた。
父さんは、僕の話に相づちをうちながら上機嫌に聞いていた。

夕方になって、父さんは僕の手を引いて観覧車の列に並んだんだ。観覧車の入り口では、制服を着たおじいちゃんがチケットを受け取っていた。

父さんがチケットを渡すと、おじいちゃんは最初、変な顔をした。でも、父さんがなにかを言ったら、おじいちゃんは にっこり笑って、僕の頭に手をおいて「ゆっくり楽しんでおいで」って言ったんだ。

観覧車からなにが見えたか。とか、帰り道にどこに寄ったか。とか、次の日にシゲルくんとどんな話をしたか。とか、みんな忘れちゃったけど、父さんと一緒に電車に乗ってるときに窓から観覧車が見えて思い出して、あのときのことを聞いてみた。

あのとき 父さんは、係の人に3枚のチケットを渡したんだって。係の人は、一枚多いよ。って返そうとしたんだけど、今日は娘の、僕の妹の命日だから一緒に乗るんです。って言ったんだって。そしたら係のひとは、チケットそのまま受け取ってくれたんだって。

でも父さんは、チケットを受け取った係の人は、お嬢さんだった。なんて言ってるから、この話もどこまで本当かなんてしらない。

桜並木

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かあさま。かあさま。

ずうっとむこうまで さくらがいっぱいですよ。
ずうっとむこうまで さくらの下をあるけますよ。

あたしのうえに さくらの花びらがおちてきますよ。
かあさまのうえにも さくらの花びらがおちてきますよ。

かあさま。かあさま。
かあさまの髪に 花びらがとまりましたよ。
とってあげます。かあさま。
しゃがんでください。かあさま。

かあさま。かあさま。
あたしの髪にも花びらがとまりましたよ。
かあさまとおそろいですよ。

かあさまの 花びらを取って上げるのは
やっぱり ちょっとまってくださいね。
むこうまで、おそろいの花びら
つけたままで あるきたいですよ。


撮影データ
カメラ:大人の科学マガジン(学研)付録 gekkenflex
フィルム:KODAK SUPER GOLD 400

秋色

秋色の街を歩きましょうか。
秋色の装いで歩きましょうか。

野球場の駅で降りて
秋色の公園を抜けて
中華街でごはんをたべて
元町のお店を眺めて
坂道をのぼって
港の見える公園まで。

たったいちどの
今年の秋だから。


撮影データ
カメラ:CONTAX TVS-II
フィルム:KODAK SUPER GOLD 400

日本丸

暑さでふらふらしながら歩いてたら、港に日本丸・・桜木町の駅前で使わなくなった船渠の中にアヒルのおもちゃ然と浮かべてある観光名所的やつではなくて、浦賀の造船所で造られた現役の航海練習船のほう・・・が泊まっておりました。

ああ奇麗であるなあ。と、ぼーっとしたアタマで考えて、やっぱ船乗りになっておけばよかったかと一瞬考えてしまうものの、海に出て ダイオウイカ とか マッコウクジラ などと遭遇してしまったら戦える自信はなく、ましてや、夕暮れの街角に現れる赤いマントの怪人の乗ったアドバルーンは海の上ではどこに飛んでいくのか。と つらつら考えはじめるのは、たぶん ぼーっとしたアタマ のせいであります。

これが海の上であったなら、きっと つらつら考えている間にシケの大波に さらわれるにちがいなく、きっと 船べり には近づかんほうがよろしいし、ましてや帆柱に昇るなどありえぬことで、やはり船乗りは無理であるかと ぼーっとしたアタマが納得いたします。

それでもやっぱりこの船は奇麗であるので、戦前の日本に生まれて郵船の船長さんになっておけばよかったか。と考えたら、それでは航海練習船は桜木町の駅前の日本丸のほうであるかと思いついて、船乗りになるのも大変であることよ。

と、いらん思いを馳せていたら、すっかり日も傾いてしまう夏の終わり。


撮影データ
カメラ/レンズ:CONTAX 159MM/Carl Zeiss Distagon 2.8/35
フィルム:KODAK PORTRA 400